無題(仮)

手の平に、すっぽりと収まる大きさの携帯電話

その携帯の小さな画面には、宛先だけ指定された、

内容は白紙のままのメールが映し出されていた。

俺は、ゆっくりと、でも
一定のリズムを保って、
文字を打ち込み始めた。

「誕生日おめでとう。
引っ越ししました
引っ越し祝いに、
いや、引っ越し関係ないけど、
飯行きませんか。」

このぐらいの唐突具合が
ちょうどいいだろ・・

などと、一人で納得し、
小さ過ぎる携帯のさらに小さい、送信ボタンを押した。

まあ、久々だし、誕生日はメールを送るいいきっかけだよな、なんて考えながら。

宛先の主に便りを送るのは、実に半年ぶりのことだった。

彼女と出会ったのは、三年前。

良く良く考えてみると、
俺らには、全く接点がなかった。

歳も違うし、通っていた学校も違った。

改めて聞かれても、
「なんとなく」
としか言いようのない出会い。

でも、「なんとなく」のおかげで、とりあえず、三年間「友達」をやっている。

まあ、向こうがどう思ってるかはわからないけど

俺は、好意を寄せていないと言われれば、嘘になるぐらいは、意識してる。

半年ぶりに連絡するとかいう、訳の分からないことをしながら

「半年ぶりか・・・・」

なんて考えていると、
携帯電話が、身を震わし、メールがきたことを告げる。

「どうせイタズラメールだろう」なんて、焦る気持ちを押さえながら

メールを確かめる。

「ふう・・・・」

イタズラメールだった。

ははっ、っと軽く、溜め息混じりの笑みを浮かべながら、

ちゃんと送れてないのかなと、

送信メールを確かめる俺。
「よし、ちゃんと送れてるじゃん」

安心し、ふと冷静になったところで、恥ずかしくなる。

「相変わらず馬鹿だな、俺」

少しどころか、どっぷりハマってる。

結局、返事が来たのは、
次の日だったわけだが。

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